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古代史の学びを形に残すことのススメ その1

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はじめに

このコラムを読んでいただいている方は間違いなく古代史が好きで、様々な方法で古代史を学んでいる方だと思います。

かく言う私(ひろ)も小学生のときの作文に「考古学者になりたい」と書いたくらいの古代史好きな人間です。

とは言え、その後は歴史学や考古学の道に進むことなく、そのときどきの興味にまかせて古代史に関する本を読んだり、古代史好きの仲間とお酒を飲んだときに議論することくらいしかしていませんでした。

 

ところが10年ほど前、とあることがきっかけで少し真剣に勉強してみようと思い立って以来、自分流で古代史を学ぶことを続けています。

途中、自分の考えを何か形あるものとして残したいという思いが強くなり、自費出版で本を作るという目標を定めました。

それからは学ぶことが格段に楽しくなり、学びの質も一気に上がったように思います。

 

さらに、自分の考え(自説?)ができあがってくると、それを早く発信したくなってブログを始めました。

ブログの読者が増えてくるとますますモチベーションが上がります。

そしてついに自費出版の本が出来上がった時には何とも言いようのない達成感や満足感がありました。

 

ここではそんな私の経験をもとに「古代史の学びを形に残すことのススメ」と題して、専門家ではない私たちも古代史の学びを通じて人生を充実させることができる、ということをお伝えしようと思います。

もとより古代史の学び方は人それぞれだし、人生の充実をどこで感じるかもひとりひとり違うので、あくまで私の経験として読んでいただけると幸いです。

 

小さな成功体験

まず、自費出版を目標に定めるよりも以前のことですが、10年前の学びの入口は例にもれず「邪馬台国」でした。

邪馬台国の所在地について、それまで漠然と考えていたことを自分なりの根拠をもって筋道の通る話にしたいと考えたのです。

新たに本を買って読むだけでなく、過去に読んだ本を書棚から引っ張り出して改めてじっくりと読みました。

ネットでも様々なキーワードで検索して情報を集めました。

本を読んでもネットを検索しても、邪馬台国に関する情報はあふれかえっているので、自分の考えを作るうえで使えそうなものを取捨選択してノートに書き留めながら整理していきました。

また、そんな学びの時間と並行して、実地踏査と称して古代史仲間と一緒に大和の纒向遺跡を訪ね、三輪山を登拝して「やっぱりそうか」と確認できたことがありました。

唐古・鍵遺跡では復元された環濠を見て、周囲の地形や方角を確認しながら閃いたこともあり、逆に「どうしてこうなっているのだろう」と新たな疑問が湧いてくることも。

これらの経験から、五感で感じることが意外にも重要だということを認識しました。

この実地踏査はいわゆる仮説を検証することにつながったと思います。

 

そういうプロセスを経てできあがった自分の考えをパワーポイント10数枚の資料にまとめました。

これが私の古代史に関する初めての成果物ということになります。

その後、実地踏査に行ったメンバーや古代史好きな職場の大先輩が集まった場でこの成果物を発表する機会があり、自己満足感に浸ったことが思い出されます。

 

3つのステップ

そんな私の小さな成功体験を「古代史の学びを形に残す」という視点で考えると、次の3つのステップに分解することができます。

ちょっと無理やり感があるかもわかりませんが、こうすることでわかりやすくなると思います。

情報収集と仮説作り テーマを決めて情報収集し、自分の考えとしての仮説を作る。
検証と練り上げ 実地踏査などを通じて仮説を検証し、練り上げて自説に仕上げる。
アウトプットと発信 自説を成果物として形にして第三者に発信する。

 

これまでの取り組みを振り返ると、10年前に真剣に勉強しようと思うまではステップ①の段階でとどまっていました。

とにかく面白そうな本を手当たり次第に読んで「なるほど」と頷きながら妄想を膨らませて「これはこういうことだろうな」と、何となく自分の考えが形成されていくという感じです。

それはそれで知識が増えていく楽しさがありましたが、③まで進めた小さな成功体験と比較すると古代史ライフの充実度には雲泥の差があります。

 

「古代史の学びを形に残す」ことはそれ自体が目標になります。

そして目標を持つと自ずとモチベーションが高くなり、古代史に取り組むことがますます楽しくなります。

次回からはこの小さな成功体験のあと、自費出版を目標に定めてからの私の取り組みについて、上述の3つのステップに分けて具体的にどんなことをしてきたかをお伝えしたいと思います。

 

(次回に続く)

古代史の学びを形に残すことのススメ その2