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古代史の学びを形に残すことのススメ その4

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第3ステップ「アウトプットと発信」

前回は、仮説の裏付けを得るために事実や専門家の説などをさらに調べ、実際に現地に行って自らの眼で見て、耳で聴いて、五感で感じる実地踏査をすることで仮説を練り上げて説得力を高めていったことを書きました。

古代史の学びを形に残すことのススメ その3

今回は最後のステップ、「アウトプットと発信(自説を成果物として形にして第三者に発信する)」です。

 

ブログで発信

自己満足ながらも自分の考え、つまり自説(ここではあえて「自説」と呼びます)ができあがってくると、原稿全体の構成や話の展開、締めくくり方などを明確に考え切れていない状況なのに、一刻も早く誰かに読んでもらいたい気持ちが強くなっていきました。

ただ、どんな自費出版サービスを利用するとしても原稿を書き上げることが先決なので、形にすることも誰かに読んでもらうこともまだまだ先の話です。

 

そこで考えたのが、ここまで書いてきたことをブログで発信するということでした。

 

本のタイトルにする予定だった「古代日本国成立の物語」をそのままブログタイトルにして、書き溜めてきた原稿(正確には原稿のもとになる文章)をブログの記事として小出しにしながら毎日発信する、ということにしました。

もちろん並行して原稿を書き続けます。

 

その年の夏場にブログをスタートさせ、記事の在庫がなくなるまでに残りを書き終える予定にしていたのですが、秋頃から入稿が出稿のペースに追いつかなくなり、ついには在庫がなくなって朝から考えたことをその日の夜に記事にする、なんて苦しいときもありました。

 

それでも何とか年内に原稿作成をクロージングさせ、ブログで毎日発信するという目標も達成して大きな満足感や達成感を得られたのですが、残念ながら肝心の年内に本を出すという目標は達成できませんでした。

 

いよいよ自費出版

原稿を書き始めた頃、いくつかの自費出版サービスを比較検討しながら、何冊くらい印刷して、コストはいくらかかって、というようなことを考えていたのですが、原稿の全てがブログの記事になったことで、とりあえずはブログ記事を書籍にするというサービスを利用することにして作業を進めることにしました。

 

ところがその作業を進めているときに、古代史仲間の友人から「知り合いの印刷会社が自費出版サービスを立ち上げるので使ってみないか」とのありがたいお誘いをいただきました。

 

その印刷会社はサービスメニューも価格表も業務フローもこれから作っていかれる段階だったので、こちらの要望をほぼ全て受け入れていただき、その結果、この上なく満足度の高い本が出来上がりました。

親しい人に読んでもらう数だけ製本版として印刷し、その製本原稿を電子書籍化してアマゾンで販売することにしました。

年内に本を出すという目標をたててから2年を要することになってしまいましたが、仕事の合間を縫って取り組んだ2年間は自分でもよく頑張ったと思います。

 

ちなみに、現在私の手元にはこのときの製本版が2冊あり、1冊は末代まで残していく永久保存版として、もう1冊はあの世での名刺代わりとして私の棺に入れてもらおうと考えています。

 

古代史プレゼン大会も

第三者に発信する手段としてブログや自費出版を経験した私ですが、昨年には「プレゼン大会」で発表するという機会がありました。

※画像はイメージです

 

半年ほどかけて勉強した“銅鐸に関する自分の考え”を、パワーポイントを使って発表したのですが、第三者にプレゼンをするというのは本やブログの文章を読んでもらうのとはまた違うモチベーションがありました。

パワーポイントの作成にも相当の時間を割き、いざ発表となるとたいへんな緊張でしたが、これまでに経験したことのない楽しい機会となりました。

 

最後に

以上、ここまで私の経験談をお伝えしてきましたが、このような取り組みを始めるまでは、本を読んだりセミナーや講演会を聴いたりして漠然と妄想を重ねるという、それはそれで楽しい古代史ライフだったのですが、真面目に古代史を勉強するようになってからは、自分の考えを何か目に見える形にしたいと思うようになり、それが本を出すという目標になりました。

 

本を出すからには第三者に読んでもらう、つまり第三者が読むに耐えうる内容にしなければならないので、それまでの妄想とは比較にならないレベルで詳しく調べて、考えて、答えを出して、自分の言葉で書くという、まさに勉強する、学習するという取り組みに変わりました。

 

これはもう古代史を楽しむというレベルを越えて、やりがいや生きがいを感じるところまで達したように思います。

そんな経験をもとに「古代史の学びを形に残すことのススメ」と題してこのコラムを書いてみました。皆さんの参考になれば幸いです。

 

おまけ

文中に登場した私のブログ「古代日本国成立の物語」は今も続けていて、更新の頻度は少なくなりましたが、古代史ネタだけでなく、車中泊での旅日記なども書いています。

自費出版についてもブログ書籍化サービスで2作目「続・古代日本国成立の物語」を作り、1作目「古代日本国成立の物語」と合わせてアマゾンで販売中です。

 

なお、1作目の自費出版をフルカスタマイズで受けていただいた印刷会社さんは、その後に正式にサービスを起ち上げられて自費出版事業に進出されました。

(おわり)