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古代史の学びを形に残すことのススメ その2

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第1ステップ「情報収集と仮説作り」

前回は、私の小さな成功体験をもとに「古代史の学びを形に残す」ための3つのステップを紹介しました。

古代史の学びを形に残すことのススメ その1

もしあなたが「自分の考えを本にしたい」とか「ブログで発信したい」とお考えなら、これから先に書いてあることは少しは参考になるかもしれないので、是非とも読んでみてください。

今回は1番目のステップ、「情報収集と仮説作り(テーマを決めて情報収集し、自分の考えとしての仮説を作る)」です。

 

古代史のテーマを決める

2015年のお正月、その年の目標を考えているときにふと思いついたのが「年内に本を出そう」ということでした。

これはもう突然のひらめきというか、単なる思いつきというか、何の脈絡もなくそんな言葉が突然に頭に浮かんだのです。

何をテーマにするのか、どんな本にするのか、そんなことを何も考えていないどころか、そもそも本を出すにはどうしたらいいのかすらわかっていない中で、1年以内に本を出すということだけを決めたのです。

その後すぐにテーマをどうしようかと考えたのですが、ここでもまず浮かんだのが「邪馬台国」です。

でも、よく考えると自分がアウトプットできる邪馬台国のことなんて、たかだかパワーポイント10数ページ分しかなく、そこからいくら頑張っても本一冊分のボリュームにはならないと思ってすぐにあきらめました。

そこで、邪馬台国のような特定のテーマを深堀する、つまり「狭く深く」ではなく「広く浅く」の発想に切り替えて、『古事記』や『日本書紀』を読んで「大和政権がどのようにして成立したのか」を自分なりに解釈して順に書いていこうと思いました。

 

ただ、二兎を追うのはきついので誰もが選ぶ『古事記』ではなく『日本書紀』を読むことにしました。

 

自分流に『日本書紀』を読み解いて大和政権の成立あたりまでの日本の歴史を考える。

読み解くにあたっては『日本書紀』に加えて中国の歴史書、そして考古学の知見、この3つが互いに矛盾しないように合理的に解釈する、つまり連立三元方程式を解くように大和政権成立を解き明かす、ということにしました。

結構な難題だと思いますが、そもそも素人が自己満足のために書くことなので、わからないことはわからないままで「課題」という形にしておけばいいし、根拠が示せないときは「想像」とすればいいや、と割り切りました。

 

心がけようと思ったことは、論文やレポートのような学術的なものではなくて読み物のようにしたいということ、つまり素人は素人なりのやり方でいこう、ということです。

本のタイトルは「古代日本国成立の物語」と決めました。

 

古代の歴史や遺跡の情報収集

邪馬台国の所在地を自分なりに論証して以来、『魏志倭人伝』と『日本書紀』『古事記』の前半部分は同じ時代のことが書かれているのではないか、と考えるようになって、邪馬台国や狗奴国、あるいは卑弥呼や卑弥弓呼は記紀に登場しているはずだ、という妄想を持つようになっていました。

まずはその妄想を軸に、記紀成立の背景、日本と朝鮮半島や大陸とのつながり、日本だけでなく中国や朝鮮半島に残る遺跡など、様々な情報を集めながら妄想をさらに膨らませていきました。

もちろん邪馬台国や『魏志倭人伝』についても学びなおしです。

 

専門家顔負けなくらいに古代の様々なことを論証している人たちのブログ、地域の遺跡や歴史を紹介した自治体や博物館のサイト、学術論文が収録された大学のライブラリなど、いろいろと検索してみると知らない情報、興味がわく情報が次から次へと出てきます。

それらに目を通していると新たな疑問が湧いてきてさらに検索する、そんなことを繰り返していきました。

 

これは時間のかかる作業でしたが、新たな発見の連続で知識がどんどん増える実感もあって大変楽しい作業でした。

 

ツボにはまったネタはノートに書き留め、後で見返すかもしれない残しておきたい情報は片っ端から印刷してファイルに綴じていきました。

 

ネットを検索するだけでなく、妄想を後押ししてくれそうな本もたくさん読みました。

このとき初めてアマゾンで中古本を買うことを覚えました。

タイトルや書評だけで購入を決めるので、買ってみて失敗だったということが時々あって、それからは後悔しないように中古本を買うことにしたのです。

それと、線をひいたり書き込んだり、ページの角を折ったり付箋を貼ったりしても中古本なら気にならなかったので、結果的に正解でした。

 

そんな感じで自分の妄想を軸に様々な情報にあたっていると、この妄想は意外にいけるかもしれない、この妄想で古代史を追いかけていけるかもしれないと思えてきて、さらに貪欲に調べるようになりました。

 

古代史の仮説作り

単なる思いつきから始まった妄想が、様々な情報をもとにして考え出したネタで肉づけされて少しづつ具体的になっていき、何となくシナリオというかストーリーというか、そういうものが見えてきました。

もうこうなると書かずにはおれない、鉄は熱いうちに打て、と思ってとにかく書いていくことにしました。

 

それは原稿という体裁を考えたものではなく、ときにはメモのような箇条書きで、ときには説明口調の文章で、ときには図にしてみたり、ときにはネットの文章をコピペしたり、断片的ではありましたが、仮説のパーツのようなものができあがっていき、頭の中ではそのパーツをどのように組み合わせるか、どのように並べるか、まるでパズル合わせをするような感覚で思考が進んでいきました。

結局、『魏志倭人伝』や邪馬台国に関する考えがさらに深まって、以前よりも詳しく論じることができるようになり、そこに『日本書紀』を関連づけることができるという自分なりの確信が持てるようになりました。

 

次回は第2ステップのお話になります。

(次回に続く)

古代史の学びを形に残すことのススメ その3