コンテンツへスキップ

【古代史】旅体験記「丹後・出雲編」

  • by

はじめに

生涯学習という言葉は自分のためにあるんだ、と都合よく考え始めた私(ひろ)が全国各地の遺跡や神社を訪ねた古代史旅の体験記をお伝えしようと思います。

 

コラム「古代史旅を10倍楽しむ方法」は私の古代史旅での失敗や反省をもとに整理したものですが、ここではそんな失敗や反省を恥を忍んで紹介いたします。

 

1回目の今回は、ふたりの古代史仲間とともに2泊3日で丹後から出雲を巡った「丹後・出雲編」です。

 

まさかの大チョンボ

2泊3日で東京→丹後→出雲→東京という行程は時間的に非常に厳しい旅になると思い、飛行機、レンタカー、宿泊場所の手配を旅行代理店に依頼した上で、3日間の行程を綿密に練って、おまけに自作のガイドブックまで作って完璧な準備をしました。

 

快晴の出発当日は意気揚々とした気分で羽田空港から搭乗し、大阪空港を経由して兵庫県のコウノトリ但馬空港に向かいました。

 

着陸のために高度を下げて雲を抜けた途端に嵐のような雨と風に迎えられ、小型飛行機は上下左右に大きく揺れます。

“大阪空港に引き返すことになったら最悪、何とか着陸してくれ”と祈る気持ちが通じて無事に到着。

空港で出迎えてくれたレンタカー屋さんのマイクロバスに乗ってJR豊岡駅近くの営業所へ行き、手続きをします。

そして、ここで大チョンボが発覚。

 

なんとわたくし、免許証を忘れてきたのです。

 

数日前に保険か何かの手続きのために自宅でコピーをとった時に、コピー機に置いたままにしていたのです。

一番年下の私が3日間とも運転する予定だったのですが、泣く泣く先輩に代わってもらうことになりました。まさかの失態でした。

 

竹野川沿いを走るつもりが・・突然の予定変更

この日は赤坂今井墳丘墓や神明山古墳、籠神社など、丹後半島の各地を巡って天橋立で宿泊の予定でした。

 

古代の丹後は半島を縦断する竹野川がヒトやモノを運ぶ大動脈。

 

この竹野川沿いの道路を走って船に揺られて川を行く古代人の気分に浸ろうと目論んでいたのですが、タイトなスケジュールにあせる気持ちがあったのか、自分でセットしたカーナビのルートを確認せずに自作ガイドブックに目を通していて、ふと気がつくと川沿いを行くどころか、海岸沿いを走っていました。

引き返すと時間のロスになるため、竹野川をあきらめざるを得ませんでした。

 

知らない土地でのナビは便利なのですが、このときばかりは裏目に出てしまいました。

 

そして丹後半島を西からぐるりと一周するルートに入ったとき、運転手をお願いした先輩から

「せっかくここまで来たのだから伊根の舟屋を見たい。たぶん二度と来ることはないだろうから」

と要望されました。

運転を代わってもらった借りもあるし、年長者の要望には従わざるを得ません。

伊根の舟屋にまわった結果、予定していた2カ所をパスすることになりました。

 

青谷上寺地と熊野大社であとの祭り

2日目は丹後からまず鳥取県の青谷上寺地遺跡に向かいました。

遺跡へ行く前に情報収集しようと考えて、青谷上寺地遺跡展示館にナビをセットして出発。

この展示館は小さいながらも展示資料は充実しており、満足度は非常に高いものでした。

そんな高揚した気持ちのまま次の目的地をナビにセットして、車が走り出してしばらくしてから気がつきました。

 

「肝心の遺跡を見ていないぞ!」と。

 

戻ることもできたのですが、この日が最もタイトな1日。

展示館で満足していたこともあって遺跡はあきらめることにしました。何やってんだか。

 

その後、妻木晩田遺跡を経由して出雲に入り、菅谷たたら山内でたたら製鉄の歴史を堪能して、最後の目的地の熊野大社に到着する頃には日が暮れかけていました。

足早にお参りを済ませて、拝殿の手前にあった舞殿に見とれながら境内を後にしました。

 

そして、この日の宿泊地の玉造温泉に向かう途中でまたしても思い出したのです。

 

「鑽火殿(さんかでん)を忘れていた!」と。

 

鑽火殿とは熊野大社の境内にあって新任の出雲国造が火継式を行う場所で、出雲大社と熊野大社の関係を考えるために見ておきたいと思っていたところです。

舞殿の向かい側にあったのですが、舞殿に見とれていたためにすっかり忘れてしまったのです。

大いに後悔したもののあとの祭り。

 

やらかしてばかりの2日目でしたが、玉造温泉では日本一の混浴大露天風呂「龍宮の湯」で一日の疲れを癒しました。

温泉でゆったりするのも古代史旅の醍醐味ですね。

 

この2日目は丹後から出雲への300キロを超えるロングドライブの中に行き先を詰め込んだため、どこに行っても時間が気になってしまって実際に2カ所のポイントを素っ飛ばしてしまうことになりました。

時間的な理由などで意図的にパスするのはいいとしても、せっかく行ったのに見るべきポイントを忘れてしまうのは愚の骨頂ですね。

完璧な準備をしたつもりだったのですが、行程の組み方や時間配分を間違ったと言わざるを得なかったし、絶対に行きたいポイントはしっかり頭にインプットしておく必要性を痛感しました。

 

古代史旅も終わりよければ

そしていよいよ最終日です。この日の行き先は絶対に外せないところばかり。

 

景初3年銘の三角縁神獣鏡が出た神原神社古墳、39個もの銅鐸が出た加茂岩倉遺跡、358本の銅剣が出た荒神谷遺跡、四隅突出墓のある西谷墳墓群を巡り…

 

そして最後は出雲大社から稲佐の浜へ。

この日もタイトなスケジュールでしたが、前日の反省を活かして朝早くに始動、見るべきポイントはしっかり押さえながら行程を進めていきました。

出雲大社に向かう途中で少し渋滞に巻き込まれたものの、予定を完璧にクリアして出雲空港に到着することができました。

 

初日、2日目はいろいろありましたが、最終日を満足いく形で終えることができたので「終わり良ければ全て良し」です。

 

たくさんの失敗もしましたが、仲間と一緒なら何が起こっても楽しいものだと思える旅となりました。

(おわり)

タグ: